★無機塗料の耐用年数

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住宅用の無機塗料の耐用年数はどのくらい?!

Q:無機塗装は20年以上の耐用年数があると言われました。本当でしょうか?

A:例え外壁塗料が20年持っても、数年ごとに木部などの塗装は必要です。

無機塗料は20年以上の耐用年数があると言われていますが、実際は建物の状態や環境や立地条件や外壁材の素材や自然災害の有無などによって大きく劣化の進行速度が違ってきます。
仮に無機塗装が20年間に亘り外壁を保護し続ける機能があったとしても、住宅全てを無機塗料で塗れる訳ではないので、結局数年ごとの塗り替えが必要になってしまいます。

住宅用の主な有機塗料は4種類

シリコン塗料はアクリルシリコン樹脂塗料(アクリル樹脂+シリコン化合物)のことで10年ほど前までは外壁塗装用として一番人気がある塗料でした。
アクリル樹脂に少しでもシリコン化合物が含有していればシリコン塗料と呼ばれるので、安価なシリコン塗料と高価なシリコン塗料ではシリコンの含有比に大きな差があります。(当然、耐用年数に影響する)

住宅用の塗料は有機塗料と無機塗料に分類出来ます。
住宅用の有機塗料として一般的に使用されるのは下記の4種類の塗料です。

有機塗料

・フッ素塗料
・シリコン塗料(アクリルシリコン塗料)
・ウレタン塗料
・アクリル塗料

最近話題のラジカル制御型塗料は、塗料を構成している顔料の中にラジカルを制御する機能が含まれているという意味なので、正確にはフッ素塗料やシリコン塗料の一種という事になります。
つまり、ラジカル制御型塗料と言っても正確には下記のようなイメージです。

ラジカル制御型塗料

・フッ素塗料+ラジカル制御機能
・シリコン塗料+ラジカル制御機能

詳しくは『ラジカル制御型塗料』の項を御覧下さい。

同様に人気の遮熱塗料も、フッ素塗料やシリコン塗料に含まれる機能の一種を強調した名称なのです。
要するに、遮熱塗料は下記のようなイメージで捉えて下さい。

遮熱塗料

・フッ素塗料+遮熱機能
・シリコン塗料+遮熱機能
・ウレタン塗料+遮熱機能

遮熱塗料に関する詳しい解説は『遮熱塗料』の項を御覧下さい。

住宅用の無機塗料

無機塗料は無機物を使った塗料として開発されました。
無機物とはレンガや石やガラスなどのことで、長期間に亘り紫外線や酸性雨などに当たっても劣化しにく特徴があります。その無機物の特徴を生かして、開発された耐久性や耐候性の高い塗料が無機塗料なのです。

しかし正確には無機物だけで塗料を作る事はできない(無機物だけでは素材と密着させることが出来ない)ので、無機塗料とは言え結局は有機物との混合塗料なのです。分かり易く考えると下記の様なイメージです。

無機塗料

・フッ素塗料(有機物)+無機物
・シリコン塗料(有機物)+無機物

それでも無機塗料やハイブリッド無機塗料などと呼ばれる理由は、他の塗料と差異化が図れるようにする為です。上記に挙げた遮熱塗料やラジカル制御型塗料と同じく、営業戦略(販売戦力)として付けられたネーミングなのです。
つまり『シリコン塗料(無機物含む)』と呼ぶよりも、『無機塗料』とか『セラミック塗料』とか『ハイブリッド無機塗料』と言った方が、従来までの塗料とは違う新しい塗料だという印象を与える事が出来るからです。

無機塗料の問題点

非常に耐久年数が長い塗料として売り出されている無機塗料ですが、問題点も幾つかあります。
例えば、有機塗料にどの程度の割合の無機物が配合されているかに関係なく、無機塗料と呼ばれている点です。
例えば下記のように配合割合が違っても無機塗料と名乗れてしまうので、塗料によって性能に大きな差が生じてしまうのです。

無機塗料A=有機塗料(99%)+無機物(1%)
無機塗料B=有機塗料(50%)+無機物(50%)

他にも下記のようなデメリットが挙げられます。

振動に弱い
近くで地震や大規模工事などがあると、クラックが発生したり剥離したりする可能性があります。

再塗装が困難
無機塗装は塵や埃などの汚れが付着しにくい特徴があるので、新しく塗装する事が困難な場合が多いのです。(再塗装しやすい塗料はウレタン塗料)

汚れにくい
無機塗料は親水性が高いので、塵や埃が付着しても雨水で洗い流されやすく、有機物が少ないので黴や苔が発生しにくい環境が保たれます。

人気の無機塗料

無機塗料のメリットとしては下記のような点が挙げられます。

燃えにくい(難燃性)
石やレンガなどの無機物は不燃性なので、無機塗料(有機物+無機物)は燃えにくい特徴があります。

耐久性能が高い
無機物は紫外線による劣化が殆どないので、無機物を多く含む無機塗料は耐候性が高く、耐久年数の長いと言われています。

汚れにくい
無機塗料は親水性が高いので、塵や埃が付着しても雨水で洗い流されやすく、有機物が少ないので黴や苔が発生しにくい環境が保たれます。

無機塗料にはメーカーや商品により性能に差がある塗料なので、詳しくは各メーカーの紹介欄を御一読ください。

塗料メーカー(大手3社)

無機塗料

エスケー化研

無機塗装のまとめ

無機塗料はメーカーや商品によっては非常に優れた塗料だと言えます。
しかし住宅に外壁塗装を施す場合には外壁や屋根以外にも、鉄部や塩ビ(雨樋など)や木部(破風や鼻隠し等)の塗装が必要になります。
もし、外壁を無機塗料で塗装する事で20年の耐用年数を得られたとしても、木部の塗装をするために再び足場を組むのであれば、あまり大きなメリットは感じられないかも知れません。
また、無機塗装は塗り替えが難しい塗料だという事も考慮して、あなたの生活設計や人生計画に応じた塗料選びを御勧めします。


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